新しい花粉症治療【ゾレア治療】とは

ゾレア

2022年も花粉症の季節がやってきました。花粉に対するアレルギー反応である花粉症は春先に症状が出るケースが多いですが、反応が出やすい花粉の種類によっては春以外でも症状が出る可能性があります。1日中鼻水や鼻づまり、目のかゆみで仕事や勉強に集中できない重度の花粉症の人におすすめしたいのが、新しい花粉症治療法のゾレア治療です。この記事では、ゾレア治療の内容や効果、ゾレア治療を受けるまでの流れなどを紹介します。

ゾレアとは

ゾレアとは、花粉によるアレルギー反応を引き起こすIgE抗体に作用する、世界初の抗体治療薬です。従来の花粉症治療薬で最もよく使われている抗ヒスタミン薬は、鼻水や鼻づまりなどのアレルギー症状の原因となるヒスタミンに作用し、アレルギー症状が出ないようにする薬です。このヒスタミンは、IgE抗体が免疫細胞の1つである肥満細胞と結合することで放出されます。ゾレアはIgE抗体と肥満細胞の結合を阻害し、ヒスタミンが出ないようにすることで、アレルギー症状の元を絶とうというコンセプトで作られた薬です。そのため、これまでの花粉症治療薬で効果が不十分だった重症花粉症患者にも効能があると期待されています。

抗ヒスタミン薬は特に眠気の副作用があり、自動車などの運転に制限がかかるものもあります。抗ヒスタミン薬の副作用が仕事に直結するドライバーやパイロットなどは、ゾレアを服用するとよいでしょう。また、2月や3月が正念場となる受験生や常に高いパフォーマンスを求められるアスリートなど、花粉症の影響が日常生活への支障だけにとどまらない人もいるはずです。これまでの花粉症治療薬では症状が改善しなかった人も、ゾレアなら改善できる可能性があります。

効果

ゾレアは1日中鼻水や鼻づまりの症状がある重度花粉症患者の中でも、これまでの花粉症治療薬では効果が不十分な人や抗ヒスタミン薬では副作用が問題となる人のための薬です。これまでの花粉症治療で対応できなかった人に新たな選択肢ができた点は大きなメリットといえるでしょう。
ゾレアの皮下注射をすることによって、その効果は1か月ほど持続します。飲み薬のように短い間隔で飲む必要がない点もメリットの1つです。

また、ゾレアは検査によって服用できるか否かが決まるため、重度の症状が出ている人全員がゾレアの適応者であるとは限りません。総IgE値が高すぎる場合や、スギ花粉に対するIgE値が一定以下である場合は効果が見込めず、処方されない点は留意しておきましょう。1回あたりの投与量は75mg〜600mgとなり、健康保険3割負担の方で4,444円〜69,953円の薬剤費が窓口での支払い額に含まれます。これまでの対応できなかった人にも効果が期待できる新たな選択肢である分、どうしても既存の方法より価格が高くなってしまう事情があります。

用法

喘息の治療薬として作られたゾレアは2019年から保険適応となり、2020年からは重症花粉症患者に対しても皮下注射による処方ができるようになりました。処方までの流れとして、まず問診や採血で重症のスギ花粉症であるか診断します。抗アレルギー剤などによる既存の治療を1週間以上行い、効果が不十分と診断された場合は、投与量を決めるために血液検査や体重測定を行います。 ゾレアの適切な投与間隔や1回の投与量は、血清中総IgE濃度と体重によってそれぞれ異なるためです。予定通りゾレア治療に至れば、薬剤説明ののち処方となります。ごく稀にアナフィラキシーを発現する可能性があるため、多くの病院で初回は処方後1時間程度待機して経過観察をします。

ゾレアは花粉によるアレルギー反応を引き起こすIgE抗体に作用する薬であり、すでに起こっている症状を抑えるための薬ではありません。ゾレアの服用に至った際はこの点をよく理解し、他の花粉症治療薬を自己判断で減らしたりやめたりしないよう注意しましょう。IgE抗体は花粉症の原因でこそありますが、本来は免疫や寄生虫感染に対する防御のための機能でもあります。ゾレア服用中はIgE抗体による防御機能が弱まるため、寄生虫感染のリスクが高い地域に旅行する際は事前に医師に相談しましょう。

ゾレアによる花粉症治療ができる時期はスギ花粉が飛散する春の季節、具体的には2月~5月と決まっています。この時期に決定した量のゾレアを4週間または2週間ごとに皮下注射します。投与後数日~2週間で効果が出始め、効果の継続期間は約1ヶ月です。治療を受けられる時期がはっきりと決まっているうえ、事前の検査も必要となるため、ゾレア治療を検討する際は早めに当院へご相談ください。

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監修医師

坂本 淳Sakamoto Atsushi

坂本 淳 日本皮膚科学会皮膚科専門医
略 歴
2009年3月 順天堂大学医学部 卒業
2009年4月 順天堂大学病院 初期研修
2011年3月 同病院 研修終了
2011年4月 同病院皮膚科入局、同病院大学院入学
2015年3月 同病院大学院修了
2015年4月 順天堂静岡病院 助教
2017年5月 東京臨海病院 医局派遣
2020年1月 順天堂練馬病院 准教授
専 門
日本皮膚科学会皮膚科専門医
専門分野
尋常性ざ瘡・アトピー性皮膚炎・蕁麻疹・花粉症・乾癬・湿疹/皮膚炎・円形脱毛症・尋常性白斑・白癬・イボなど一般的な皮膚科疾患の治療、しみの治療、男性型脱毛症(AGA)の治療など。

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