乳房外パジェット病とは
アポクリン汗腺というにおいのする汗をつくって出す部位の細胞が変化して発生すると考えられています。「がん」という名前がついていませんが、がんの一種で、典型的な場合、外陰部や肛門の周りまたは腋窩にできて何年もの長い間、表皮の中という浅い部分で大きく広がります。真皮に浸潤すると転移する力をもちますが、リンパ節転移を起こした場合の手術方法の確立が遅れていることや、リンパ節転移が多発したり、内臓転移を起こしたりした場合の抗がん薬による治療方法の開発がほとんどされていないため、このように進行した場合の治療経験のある病院が有棘細胞がん以上に限られています。乳房外パジェット病は70から80歳代の高齢の患者さんの多い病気です。そして60歳代以下の若い人に発症する場合、高齢者に比べ真皮に浸潤する時期が早く、リンパ節転移を起こしやすいことが考えられ、注意が必要です。
原因
皮膚にある汗腺の「アポクリン腺」に由来するがんと考えられています。
はっきりした誘因はわかっていません。
検査
問診・視診・触診などで乳房外パジェット病が疑われた場合、診断のために皮膚生検という顕微鏡の検査で確認します。診断後は、病気の広がりや転移の有無を確認し治療の方法を検討するため、マッピング生検やCTなどの画像検査を行います。 マッピング生検は、目で見える病変の端から1cm程度離れた箇所を複数生検する検査であり、短期間の入院で実施されることが多いです。生検した箇所を点として、点と点とを線で繋いだ範囲を切除することにより、がんを全て取り除くことが可能となります。
当院の治療
通常病変辺縁より1~2cm程度離した手術により切除することが一般的です。切除後の皮膚欠損が大きく、傷を縫い閉じることが難しい場合、再建術(植皮もしくは局所皮弁)を行うことがあります。病変の大きさや深部への広がりの程度によって、リンパ節転移をきたしている可能性が疑われる場合、センチネルリンパ節生検という検査を組み合わせ、所属リンパ節転移の有無を判定することがあります。所属リンパ節に転移がある場合は転移の程度によりますがリンパ節郭清が必要です。本疾患はときに病変の境界を見極めるのが難しい例があり、再発や転移も少なくありません。
リンパ節転移が広範囲に及んでいる場合、手術との組み合わせや単独で放射線治療を行うこともあります。またまれですが、根治的な手術療法が困難な場合や臓器転移がある場合は、化学療法を主体とした治療が行うこともあります。
日常生活の注意点
予防できる方法はまだ知られていません。早期発見に努めることが、一番大事です。気になるしみや湿疹などができ、なかなか治らない場合は一度皮膚科を受診してみましょう。