脂肪種、粉瘤、できもの、腫瘍の日帰り手術は麹町皮ふ科・形成外科クリニック
脂肪腫
脂肪腫は皮下組織にできるしこりで、多くが良性のものであり脂肪細胞で形成されています。小さいうちは無症状で気にならない場合もありますが、大きくなってくると神経や血管を圧迫し痛みが生じることもあります。中には悪性の脂肪肉腫の場合もあるため、早めに医療機関が必要な場合があります。
脂肪腫とは
脂肪腫とは皮下組織にできる脂肪細胞が増殖してできたかたまりのことで、ほとんどが良性です。薄い皮膜に包まれていますが、中身は黄色い脂肪になっていて、皮膚の外側から見るとなめらかでボコッとしたやわらかいボールのようなしこりになっています。
脂肪腫は体のどこにでもできますが、特に背中や肩、頸部(けいぶ)に発生しやすく、おしりや上腕、大腿(だいたい)部、上肢、下枝にも見られることもあるでしょう。患者の多くが40歳代以上ですが、20代~30代の患者さんもいらっしゃいます。男女比では、女性のほうが男性よりも脂肪腫ができる人が多いです。脂肪腫の大きさは多くが直径1cm以内の小さなものですが、中には5㎝~10cmを超える場合もありますし、多発するケースも見られます。
脂肪腫の原因
脂肪腫ができる原因について、正確なことは分かっていません。肥満や糖尿病、高脂血症を発症している人が多いと言われています。脂肪腫が最初にできるのは幼少期ですが、徐々に大きくなっていくため若いうちには気づかず、しこりが認められてもそれが大きくなく痛みも伴わなければ、様子を見ておく人も中にはいるでしょう。しこりは脂肪を蓄積しやすくなる中年期から肥大化する傾向があります。そのため、患者の多くは40代以上です。
少ないケースですが、遺伝などの原因が分かっているものもあります。例えば周囲の組織と癒着していない脂肪腫が多発する家族性多発性脂肪腫症は、遺伝性の疾患です。また、頭部や頸部などに対称性の巨大な脂肪腫ができる多発性対称性脂肪腫症(マーデルング病)は、アルコール依存症との関係が指摘されています。いずれもまれな疾患です。
脂肪腫はしこりが認められる以外に症状が見られないことがほとんどで、服などで隠れてしまう部分にできている場合には医療機関を受診しない人も多いです。しかし、脂肪腫が肥大化してくると見た目などが大きくなると、気になる人も出てくるでしょう。脂肪腫が肥大化し、神経を圧迫すると痛みが出る場合もあります。特に血管成分が多い「血管脂肪腫」は多発することが多く、痛みが出やすいです。脂肪腫は年齢とともに大きくなるもので、大きくなるほど体への負担も大きくなります。小さいうちに治療してしまえばその分、体への負担や日常生活の制限も少なく済むでしょう。
また、一見脂肪腫のように見えても、皮下組織の軟部組織に悪性腫瘍(がん)ができているケースもあります。特に悪性の分化型脂肪肉腫とは一見して区別しにくく、確定診断には医療機関での検査が必要です。そのため痛みなどがなかったとしても脂肪腫が認められるときは、早めに医療機関を受診しておくのが望ましいでしょう。
脂肪腫の種類
線維脂肪腫・血管脂肪腫・筋脂肪腫があります。
脂肪腫と粉瘤の違いについて
皮膚の下に袋状の組織(のう腫)ができる粉瘤(アテローム)も脂肪腫と混同しがちですが、似て非なるものです。脂肪腫が脂肪細胞のかたまりであるのに対し、粉瘤はのう腫の中に、皮脂の垢や脂肪などが詰まった液状の成分が詰まっています。脂肪腫も粉瘤もがん化するケースは少ないですが、粉瘤は顔、背中、頚部、おしりなどにできることが多く、炎症や痛みを伴う場合もあるのが特徴です。
診断
医師が患部をさわって(触診)診察を行います。次に、超音波エコーを行い診断をいたします。検査の時間は脂肪腫の大きさによりますが、約5分~10分程度です。
脂肪腫の治療
脂肪腫は手術によって完全に摘出するのが一般的です。脂肪腫が小さなものであれば、局所麻酔をした上で脂肪腫のある皮膚の真上を切開し、脂肪腫を取り除きます。その後、真皮組織・表皮組織を縫合するのです。切開して縫合した部分は最初は赤く目立ちますが、近年ではできるだけ切開する部分を小さく、見た目を損なわないよう手術することが多くなりました。当院では、日帰り手術を行っています。
治療の流れ
当院では、日帰り手術を行っています。
まれに10㎝をこえる脂肪腫、多発している脂肪腫、脂肪腫が筋肉や筋膜層まで癒着している場合は、入院が必要な場合があります。
1. 消毒を行い局所麻酔をかけます
局所麻酔を行う事で、手術中の痛みがなく治療に望むことができます。
痛みに対しての心配や不安がある場合は、医師へご相談ください。
2. 切開をし脂肪腫を切除します
形成外科の専門医が、小さい切開で脂肪腫を切除していきます。
術中に違和感がある場合は、看護師へ声をかけてください。
3. 切開部位を縫合していきます。
傷跡が残りにくいように縫合していきます。必要に応じでは、切開した内部で血が溜まらないようにドレーンを挿入する場合があります。
4. 抗菌薬を塗布し、縫合して終了です。
術後に感染をしないように、丁寧に縫合しガーゼで患部を保護していきます。
5. 術後1週間後に診察し、抜糸をします。
手術をして約1週間後に、経過が問題がなければ抜糸を行います。
当院では、手術後も脂肪腫の再発がないようにしっかりと術後の経過を診察していきます。
また、術後に痛みや腫れがひどい場合はお問い合わせください。
<術後の生活の注意点>
脂肪腫の手術をした当日は、入浴、飲酒は血流が良くなり痛みは腫れが増す場合があるため控えてください。シャワーは手術の翌日から許可されることが多く、部位によっては患部をぬらさなければ当日から可能です。手術から約1週間後に診察をし問題がなければ抜糸を行います。1週間後の診察時に、入浴が許可されるのが一般的です。手術後の外来は個人差があり1~3回必要になりますが、経過観察で異常が見られなければ治療が終了となります。
病理診断
脂肪腫は、まれに悪性腫瘍の一種の脂肪肉腫と誤診されるケースがあるため、当院では切除した脂肪腫は必要に応じて病理診断をさせていただいています。
FAQ
- 脂肪腫は何科にいけばよいですか?
- 脂肪腫は皮膚科・形成外科で診察が可能です。
- 手術後はどのように処置すればよいですか。
- 手術後は、患部を清潔に保ち抗菌薬を塗布していただきます。
一人で処置が難しい場合は、ご相談ください。 - 頭や背中にできた脂肪腫でも診察していただけますか。
- はい、診察が可能です。ご相談ください。
- 脂肪腫を放置すると悪性になりますか
- 脂肪腫は良性のしこりのため、悪性にはなりません。
ですが、脂肪腫でないしこりの可能もあるため、はやめに受診した方がよいでしょう。