虫刺されの腫れがひどい!腫れが収まらない時の薬や対処法を解説!

「虫に刺されてパンパンに腫れた」
「虫刺されで腫れるのはなぜ?」
「虫に刺されてすごく腫れたときはどうしたらいいの?」

このような経験やお悩みをお持ちの方も多いでしょう。

夏から秋にかけて活動が活発化する虫もいますが、季節に関係なく被害を出す虫もおり、虫刺されによる患部の腫れは年間を通じて発症する可能性がある皮膚炎です。

この記事では、虫刺されで腫れる原因や虫の種類による症状の違い、腫れがひどいときの対処法、治療について説明しています。さらに炎症が治ってから痕を残さないための対策や虫刺されの予防法についての解説もあるため、最後まで読むと虫刺されの予防や対応ができるようになります。

虫刺されとは

虫刺されはとても身近な皮膚炎で、医学的な病名は「虫刺症(ちゅうししょう)」です。


ブヨ
ノミ
ダニ
トコジラミ
ケムシ
ムカデ

などの虫が、刺したり咬んだりすると症状を起こします。

主な症状には、かゆみや発赤、腫れなどがあります。腫れた部分は中心に虫が刺した穴があるのが特徴です。刺されたときではなく、症状が出てから気づく方も多いため、何の虫に刺されたのかわからない場合が多いでしょう。

虫に刺されると一言で表しますが、虫の種類により人間に被害を与える方法が違っており、下記のように分類できます。

方法

虫の種類

吸血蚊 ノミ ブヨ(ブユ、ブト) トコジラミ ダニ
刺すハチ
咬むムカデ クモ
触れるケムシ

虫刺されの症状は虫に刺されたり咬まれたりする物理的な刺激や、毒液や唾液による化学的刺激によって発生します。さらに毒液や唾液に対する生体防御反応が働いてアレルギーを引き起こします。

虫刺されが腫れる原因

虫刺されでは患部が腫れる症状が出ますが、原因はアレルギー反応です。虫に刺されたときに、虫の唾液や毒液が体内に入り込みます。すると唾液や毒液を異物と認識して体を守るための反応が起きます。

アレルギー反応には「即時型」と「遅延型」の2種類があり、成人は即時型反応が多いです。即時型反応は刺された直後に発症し、数時間で治ります。かゆみ、発赤、腫れなどの症状が出ますが軽い場合がほとんどです。遅延型反応は刺されてから数時間〜数日程度して、強いかゆみや熱感を伴う腫れ、水ぶくれなどが起こります。

即時型反応遅延型反応
症状が出現するまでの時間直後〜数時間数時間〜数日
程度軽度の腫れひどく腫れて熱感や強い痒み
患者が多い世代青年〜壮年期乳幼児期

虫刺されは年齢や虫の種類、体質、アレルギー反応の有無などにより症状に個人差があります。

虫の種類別の虫刺されの症状

虫刺されを起こす原因となる虫にはさまざまな種類があり、人間に被害を与える方法も4つに分けられ症状に違いが見られます。ここでは虫別に詳しく説明していきます。

蚊に刺されるとかゆみや発赤、腫れが出現します。蚊の唾液による即時型反応で、刺された直後から出現し1〜2時間で治る場合がほとんどです。

乳児や幼児は数時間〜数日後に出現する場合が多く、かきむしったり放置したりすると細菌に感染して「とびひ」や「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」を合併する可能性があります。

また稀ですが「蚊アレルギー(蚊刺過敏症/ぶんしかびんしょう)」の場合、下記のような全身症状も出現します。

・38℃以上の高熱
・リンパ節の腫れ
・刺されたところが水ぶくれから深い潰瘍になる

ノミ

ノミに刺されてもすぐには気づきません。1〜2日くらいして強いかゆみのある赤いブツブツが出現します。時には中央がやや凹んだ水ぶくれになります。

被害を与えるのはネコノミがほとんどで、イヌやネコの体に寄生しており2〜3mm程度の大きさです。野外では、人間の膝下の部分に地面から飛びついて吸血します。ペットとして飼っているイヌやネコに寄生しているノミは、体や腕に飛びつき吸血する場合が多いです。ノミは複数の場所を刺すため、狭い範囲に赤いブツブツが群がっています。

ブヨ(ブユ、ブト)

ブヨは蚊に似た体長2〜4mmの虫です。ブヨに刺されて半日位経つと激しいかゆみとともに赤く腫れてきます。ブヨは刺すというより、皮膚を咬んで出た血を吸っているため、出血点や小さな内出血を認める場合もあります。

激しいかゆみのためかきむしってしまうと、赤くてかゆみのあるしこりが残ってしまい「慢性痒疹(まんせいようしん)」に移行する可能性があり注意が必要です。

ブヨは山間部の渓流沿いや高原などで、露出したスネを刺される人が多い傾向です。

トコジラミ

トコジラミによる症状は、かゆみの強い赤いブツブツです。複数箇所を刺しかえて吸血するため、狭い範囲に集まっています。1〜2週間経過しても赤みが残り、強いかゆみが続くのが特徴です。アレルギー反応によるもののため刺されるのが2回目以降の場合、すぐに症状が出ます。

近年海外旅行先で被害にあう人や、バッグに潜んだまま持ち込んでしまった症例が問題となっています。

トコジラミは体長5mm程度の虫で、室内の家具の隙間や畳の裏側などに生息しています。夜間に活動するため、寝ている間に肌が露出している首や腕などから吸血します。

ダニ

ダニに刺されると赤いブツブツがたくさん出現し、かゆみも強いです。症状は数日〜1週間程度続きます。人間に被害を与えるのはネズミに寄生するイエダニが多く、カーペットや布団に生息するヒョウヒダニ類は吸血しません。

イエダニはネズミが生息する床下や天井裏から夜中に室内に侵入し、服の中に潜り込みます。下腹部や脇腹、太ももなど服で覆われた柔らかい場所を複数箇所刺して吸血します。

さらに野外では、マダニに注意が必要です。レジャーで山道ややぶ、河川敷などに行った際に下記の場所を刺される可能性があります。

肌を露出しているところ

足の付け根
膝のうら
頭(髪の毛の中)

マダニはイエダニよりも大きい2〜8mm程の虫です。マダニは麻酔成分を出しながら吸血するため刺しているときには気づかない場合がほとんどで、セメント様物質を分泌して皮膚に吸着し1週間以上もしがみついています。

吸血中に気づき無理にマダニを除去しようとすると、頭の部分のみが皮膚に残ってしまい炎症を起こしてしまうので注意してください。そのまま医療機関で処置を受けましょう。

マダニは重大な感染症を媒介する場合もあり、数日〜1週間くらいの間に発熱や消化器症状などが出現したら、速やかに医療機関を受診してください。

ハチ

ハチに刺されると同時に激しい痛みが出現し赤く腫れてきます。これはハチ毒の刺激作用によるものです。ハチに初めて刺されたときは痛みや腫れは軽く、1日以内に治ります。しかし、2回目以降はハチ毒へのアレルギー反応も加わり、刺されてすぐに下記の様な全身症状が出る可能性があります。

・じんましん
・かゆみ
・だるさ
・呼吸困難感
・手足のしびれ
・腹痛
・意識がもうろうとする
・血圧低下

アナフィラキシーと呼ばれる症状で、最悪の場合死に至るためすぐに救急車を呼んでください。

ムカデ

ムカデに咬まれるとすぐに強い痛みを感じ、咬まれたところはしびれて赤く腫れます。ハサミ様の毒針によって咬まれるため、2つの小さな傷がついているのが特徴です。

ムカデに咬まれた後の全身症状には注意が必要です。

・頭痛
・悪寒
・発熱
・吐き気
・じんましん
・かゆみ
・呼吸困難感
・腹痛
・血圧低下

上記のような症状が出た場合は、アナフィラキシーであるため、すぐに医療機関を受診してください。

ケムシ

チョウやガの幼虫であるケムシの中でも有毒毛があるケムシに触れたとき、症状が出現します。有毒毛には「毒針毛(どくしんもう)」と「毒棘(どくきょく)」の2種類があり症状が若干違います。

毒針毛を持つケムシはチャドクガが有名です。ケムシに触れたところにかゆみが出始めて小さな赤い丘疹が出現。時間が経つと丘疹どうしが繋がって、じんましんのように皮膚全体が腫れあがり激しいかゆみも伴います。かゆみのためにかいてしまうと、刺さっている毒針毛を他の場所に広げてしまいます。

毒針毛による被害は首や腕に多く、ケムシに触れなくても風で飛んできた毒針毛が皮膚に付着して症状を起こす場合があり予防が困難です。

毒棘があるのはイラガ類のケムシです。触れた瞬間にビリッとした痛みが走り、かゆみと赤みが出ますが1〜2時間で治り毒針毛のように長引きません。

虫刺されの腫れがひどい時の対処法

虫刺されによる症状の中でも、患部がひどく腫れてしまうときがあるため、ここではその対処法を3つ紹介します。

冷やす

かゆみや痛み、熱感を持った腫れはまず冷やしましょう。流水や布で包んだ保冷剤、氷のうを患部に当ててください。皮膚の温度を下げると知覚神経の興奮を抑えられるため、かゆみや痛みは感じにくくなります。さらに炎症を鎮める働きもあります。

かかずに清潔に

虫刺されで腫れた患部をかきむしらず洗って清潔にしておきます。かゆみを伴う場合が多く、かきむしりたくなる衝動にかられるでしょう。しかしかいてしまうと傷ができて細菌が入り込み、とびひや蜂窩織炎などの合併症を起こす可能性があります。炎症がひどくなった患部は色素沈着を起こして痕がいつまでも残る場合があります。

流水やよく泡立てた石鹸でこすらずに洗ってください。毒針毛が残っているときは毛抜きやピンセットなどで引き抜き、ケムシの毒針毛は粘着テープで除去しておきましょう。

医療機関を受診する

虫刺されの症状が軽いときは市販のかゆみ止めや炎症を抑える塗り薬を使用してもかまいません。しかし、腫れがひどいときはアレルギー反応が強く出ていたり感染を起こしていたりするため、皮膚科などの医療機関を受診して適切に治療してください。また、マダニはセメント様物質で強力に吸着しているので、必ず医療機関で除去してもらいましょう。

虫刺されの腫れを治す治療や薬

虫刺されの腫れがひどい時には皮膚科などの医療機関で適切な治療を受けましょう。治療する薬には下記の3種類があります。

・炎症を抑える薬
・かゆみ止め
・抗生物質

それぞれの説明をしていきます。

炎症を抑える薬

ステロイド(副腎皮質ホルモン)の塗り薬を1週間くらい使います。虫刺されは色素沈着するため、ひどくならないうちに炎症を最小限に抑えておく方がよいでしょう。腫れががひどいときにはステロイドの飲み薬も使用します。

かゆみ止め

虫の唾液や毒液に対するアレルギー反応のため、腫れとともに強いかゆみを伴う場合がほとんどです。かゆみが強いとかきむしってしまい腫れがひどくなり、傷から細菌が入り込むためかゆみを抑える必要があります。

抗生物質

虫刺されでは腫れとともにかゆみも強くかきむしって傷を作り、細菌に感染してとびひや蜂窩織炎などの合併症を起こしてしまいます。これらの合併症に対しては、抗生物質の塗り薬や飲み薬を使います。

虫刺されの痕(あと)を残さない対策

虫刺されでは患部が色素沈着し痕になる場合がしばしば見られます。長期間に渡り痕が残るため見た目が悪く気になる方も多いでしょう。ここでは虫刺されの痕を残さないための対策を解説します。

まず虫刺されの痕が残るメカニズムを説明しましょう。
虫刺されによる炎症がひどかったりかきむしって傷がついたりしたら、皮膚が元に戻る過程で表皮のメラノサイトが活性化してメラニン色素ができ黒くなります。普通は肌のターンオーバーで皮膚の上層へ移動し、最終的には数ヶ月〜半年くらいで消失します。しかしひどい炎症の場合、メラニン色素が表皮の下の層である真皮に落ちてしまうため、色素沈着が1年以上続きシミになる場合もあるのです。

かかない

虫刺されの痕を残さないためには炎症を抑えてかきむしらないようにする必要があります。ステロイドや抗生物質入りのステロイドの塗り薬を早めに使用していきましょう。

紫外線に当たらない

皮膚が紫外線に当たるとメラノサイトが活性化し、色素沈着が濃くなります。衣服やタオル、絆創膏などで患部を覆って保護しましょう。

虫刺されを予防する方法

虫刺されの腫れを起こしたり痕を残したりしないためには、虫に刺されないようにするのが一番の対策です。ここでは4つの対策を紹介します。

肌の露出を避ける

野外レジャーに出掛けるときは、極力肌の露出を避けましょう。

長袖
長ズボン
帽子
首にタオル

厚めの生地の服で虫が入り込むすき間を作らないように意識してください。

虫が多いところに行かない

虫が生息する場所に近づくのはやめましょう。

蚊は池や水たまり、植木鉢の受け皿などに生息しています。ブヨは木が生い茂って日光が入りにくいところや川沿いの草むらなどに生息しています。ハチを刺激したり巣に近づいたりすると攻撃してくるので要注意です。

虫よけ剤、殺虫剤を使う

野外に行くとき、長袖長ズボンなどで肌の露出を最小限にしても覆えない場所には虫除けスプレーを使いましょう。携帯用の蚊取り線香も有用です。虫除け剤の成分である「ディート」は子どもの顔には使用できませんので購入前に確認してください。

室内ではノミやトコジラミにくん煙殺虫剤を使用したり、床下や天井裏のネズミ、庭木のケムシには専門業者に依頼したりして駆除しましょう。

清潔を心がける

ペットにはノミが寄生する可能性があるため、こまめにシャンプーやブラッシングをして予防しましょう。

ベランダや庭には水が貯まる場所を作らないように改善して、蚊の発生を防ぐのも有効です。

まとめ

虫刺されは虫に刺されて発症する皮膚炎です。虫刺されを引き起こす虫はさまざまで、虫により吸血、刺す、咬む、触れるとの4つの方法で人間に被害を与えます。

虫刺されで腫れるのは、虫の唾液や毒液に対するアレルギー反応です。初回は反応が遅れて出る場合が多く、2回目以降は直後から数時間後に出現します。ときにアナフィラキシーショックを起こして死に至る場合もあるため侮れません。

虫刺されの腫れがひどいときは冷却してかきむしらずに清潔にしておき、皮膚科などの医療機関を受診しましょう。

監修医師

苅部 淳Karibe Jun理事長

苅部 淳 日本形成外科学会形成外科専門医
略 歴
順天堂大学医学部卒業
東京大学附属病院形成外科 入局
埼玉医大総合医療センター 形成外科・美容外科 助教
福島県立医大付属病院 形成外科
寿泉堂総合病院 形成外科
山梨大学附属病院形成外科 助教・医局長
東京大学附属病院 精神科
専 門
日本形成外科学会形成外科専門医
日本抗加齢学会専門医
日本医師会認定産業医
専門分野
形成外科一般、マイクロサージャリー、リンパ管吻合術、乳房再建術、性適合手術、美容外科手術、静脈瘤、レーザー治療など。
美容外科手術、レーザー、ボトックス、ヒアルロン酸等
大手美容外科クリニックで長年にわたり研鑽を積み、形成外科専門医として医師の診療、指導にあたっている。

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