ピアスを開けたい!知っておくべきピアストラブルとは?

ピアストラブルってなに?

中学、高校を卒業する節目でピアスを開けようと検討している方も多いのではないでしょうか。
基本的にはピアスホールを開ける際には皮膚科または美容クリニックなどで行うことを推奨しています。
しかし、最近では、雑貨店やドラックストアなどでピアッサーを購入でき、自分で手軽に、かつ安価にピアスを開けられるようになってきました。
しかし、そんななかで、ピアスを開けたことによるピアストラブルが起こる可能性も高まってきています。
どんなピアストラブルが起こりうるのかを知っているだけでも、知らないよりは正しい対応ができます。
ぜひこの記事をチェックしてからピアスを開けるのを検討してみてください。

ピアスってどのくらいで安定するの?

ピアスホールを開けたら、どのくらいで安定するのか気になるところですよね。
基本的に耳たぶであれば、1〜3ヶ月程度は安定するまでに時間がかかります。
その間は、最初にピアスホールを開けたファーストピアスをつけておくようにしましょう。
安定したと判断する基準としては、出血しない、またはつけ外しをしても痛みが生じないなどが挙げられるのでぜひ目安にしてみてください。
分泌液は1週間程度で出ないようになります。
ピアストラブルにならずに最短で安定するよう、消毒といったセルフケアもしっかりと行いましょう。

ピアストラブル4選

ピアスを開けてから起こるピアストラブルはいくつかありますが、その中でも4選のピアストラブルをピックアップして解説します。
ご紹介する埋没、しこり、炎症・かぶれ、裂傷などは誰にでも起こりうるピアストラブルです。
特にこれからピアスホール開けようと検討している方は、ケロイド体質や金属アレルギー体質などではないか事前に確認してから開けてくださいね。

埋没

埋没は、ピアスを付けっ放しで寝た際などに、ピアスのヘッド部分が皮膚の中に埋もれてしまうピアストラブルをいいます。
このトラブルは、横向きに寝てピアスが圧迫されたり、ベットシーツに引っ掛かるなど、ふとした拍子にピアスホールが引っ張られたりすることによって起こります。
埋没のピアストラブルが起きた際には、自力でどうにかするのは難しいので、必ずすぐに医療機関に相談しましょう。
局所麻酔をし、できる限り痛みを感じない状態で、埋没してしまったピアスヘッドを取り除いてくれます。
場合によっては、ピアスホールの一部分を切開する必要もあるので、自分の判断で勝手に取り除くなどをしないように注意が必要です。
もし、ピアスホールをどうしても維持したい場合には、シリコンチューブでピアスホールを維持する方法もあるので皮膚科医に相談してみてください。

予防策は?

埋没のピアストラブルが起きないようにするためには、以下の予防策があります。
・ピアスをテープで覆って保護する
・ロングタイプのピアスを使用する
・ヘッドの大きなピアスをつける
ピアスのヘッド部分が埋もれないように、テープで覆って引っかからないようにしたり、ヘッドの大きなピアスを選んでつけたりするのがおすすめです。
また、耳たぶに厚みがある方の場合、ファーストピアスのピンの長さでは短くなってしまい埋もれてしまう可能性もあるので事前に確認しましょう。

しこり

しこりは、ピアストラブルのなかでも比較的多くみられる症状で、しこりと一言でいってもさまざまなタイプの症状があります。
主な発生原因は、ピアスホール内部で新たな皮膚がつくられているからとされています。
そのほかにも、いくつかしこりの種類と原因があるので解説します。

リンパ球様腫瘤

リンパ球様腫瘤とは、アレルギー性接触性皮膚炎が長時間続いたことにより発生するピアストラブルのことをいいます。
皮膚の中で発生し、放置して時間が経つと、徐々に大きくなり表面に現れます。
ンパ球様腫瘤には手術が必要になる場合と、自然治癒で無くなる場合の2パターンありますが、長期間にわたってしこりがある場合には、病院への相談がおすすめです。

表皮嚢腫

表皮嚢腫は、開けたばかりのピアスホールに取り残されてしまった表皮から出た垢や表皮細胞が、真皮あるいは皮下組織に入り込んで発生するしこりです。
表皮嚢腫のピアストラブルが起こる要因は以下のような点があります。
・ピアスホールを開ける際の衝撃がかかる
・ピアスホールが完成する前に傷をつけてしまう
・ピアスをつけなくなったピアスホールが塞がらずに残ってしまう
基本的に、しこりが小さいうちは放置していて問題ありません。
しかし、時間が経つにつれて大きくなった場合や、感染症が起きてしまったものについては嚢腫壁の摘出手術が必要になります。
手術になるため、病院への相談が必要なので放置しないようにしましょう。

ケロイド

ケロイドは、ピアスを開ける際に耳たぶにできた傷跡が硬くなり、赤く大きく盛り上がっているピアストラブルをさします。
他のしこりとは異なり、自然治癒されず徐々に大きくなっていくので放置しないようにしましょう。
主な発生要因は、ピアスの着脱で傷がついてしまった場合や、初めてピアスを刺した際の傷からの感染です。
ピアスを開ける行為はあくまでも身体に傷をつけることになるので、傷からの感染可能性が生まれます。
また、もともとケロイドになりやすい、ケロイド体質の方もいます。
ケロイド体質の方の場合、基本的にはピアスの着用は好ましくありません。
心配な方は、かかりつけの医師にケロイド体質かどうかチェックしてもらってから、まずピアスを開けるかどうかを検討すると良いですね。
もちろん、ケロイドになりやすい体質ではない方にも起こりうるピアストラブルなので注意しましょう。
ピアスケロイドは再発の可能性もあるピアストラブルです。
ケロイド治療を専門としている形成外科があるので、可能な限り専門に扱っている病院に相談しましょう。
ケロイドの状態によっては、手術によって耳が変形する可能性もあります。

炎症・かぶれ

炎症やかぶれも、ピアスを初めて開けた際に起こりがちなピアストラブルです。
さまざまな症状や、その症状が起こる原因があるので解説します。
炎症やかぶれを軽く捉えて、自己流で冷やして対処するといった方もいますが要注意です。
アレルギー性の接触性皮膚炎・かぶれから、外的要因による炎症までさまざまなのでご自身の体質からもよく確認してください。

アレルギー性接触性皮膚炎

アレルギー性接触性皮膚炎は、ピアスの金属部分との長期接触によるアレルギー反応で起きた皮膚炎です。
判断ポイントとしては、ピアスホールが本来安定してくるはずである1ヶ月近くたっても、ホールが安定せず炎症が起きていた場合はアレルギー性接触性皮膚炎の可能性があります。
場合によっては炎症だけでなく分泌物がおさまらないこともあります。
ピアスを開けた最初の1週間は分泌液が出てしまうのはよくあることなので、覚えておきましょう。

外部からの接触による炎症

外部からの接触によって起こる場合の炎症もあります。
ふとした拍子でピアスホールに傷つくことで、炎症につながる可能性もあるので注意しましょう。
例に挙げると、ピアスの付け外しをした際にピアスホールを傷つけた場合や、衣服や寝具に付けていたピアスが引っかかり、衝撃で傷がつく場合などがあります。
ピアスの付け外しの際には注意して丁寧に行うことで、ある程度は傷をつける心配を軽減できます。
衣服や寝具に引っかかってしまうのは防ぐのが難しいですが、衣服の着脱は注意して行いましょう。
また、寝る際にはなるべく仰向けで寝ることを意識したり、寝る前にピアス部分にテープを貼って保護したりすると炎症の原因になる傷を付ける可能性を抑えられます。

消毒薬による炎症

消毒薬による炎症もピアストラブルの一つです。
症状としては、かゆみが生じる、分泌液が出る、赤くただれているなどが挙げられます。
市販で購入したスプレー式消毒薬を使用すると炎症が起こりやすいので注意しましょう。
可能であれば、ピアスホールキットに付属されている消毒液の使用がおすすめです。
使用の際のポイントは、消毒薬を良かれと思って頻繁に使わず、用量用法を守って使用することです。
また、無理に消毒液を使用せず、ピアスホールを綺麗に拭き取る・シャワーの際に日常的に洗い流すなどでも良いので自分に合ったケアを行いましょう。

金属アレルギーによるかぶれ

金属アレルギーによるかぶれは、もともと金属アレルギーでは無かった方にも起こる症状なので要注意です。
ピアスを開けたことで、金属アレルギーを発症したという方も一定数います。
症状には、消毒薬による炎症と同様で、かゆみが生じる、分泌液が出る、赤くただれているなどが挙げられます。
一般的に、ニッケル・コバルト・クロームは金属アレルギーを起こしやすい金属といわれているので避けるようにしましょう。
反対に、チタン・セラミック・シリコンコーティングは金属アレルギーを起こしにくいとされているので、アレルギー反応が気になる方は起こしにくい素材を選ぶのがおすすめです。
また、さらに心配な方は、金属アレルギーのパッチテストもあるので、パッチテストを試してからピアス選びをするのも良いですね。

裂傷

裂傷は、ピアスホールが外側へと裂けてしまうピアストラブルをさします。
裂傷の種類は2パターンありますが、どちらの症状の場合でも病院での手術が必要です。
裂けたピアスホールの両側を縫い合わせる手術になるため、手術跡も残ってしまうとされています。
予防策もあるので、ピアスホールを開ける前の方も、常日頃からピアスを着用している方も要チェックです。

急性のピアスホールの裂傷

急性のピアスホールの裂傷は、着用しているピアスが衣服や布団などに引っかかり、そのままの勢いでピアスホールが裂けて耳たぶが切れるピアストラブルです。
予防策として、衣服の着脱の際に注意すること、寝るときにはピアスをテープで保護することなどが挙げられます。
また、ピアスを開ける際に耳たぶの縁ギリギリにならないように、開ける場所を意識するのもおすすめです。
皮膚科であれば開ける位置も相談してピアッシングしてもらうこともできますよ。

慢性のピアスホールの裂傷

慢性(または陳急性)のピアスホールの裂傷は、重みのあるピアスを長期にわたって使用することにより、ピアスホールが裂けて耳たぶが切れるピアストラブルです。
また、ピアスホールの状態が悪いまま、ピアスの着用を続けた場合にも裂傷が起こる可能性があります。
お洒落したい気持ちも重要ですが、重みのあるピアスは付けっ放しにしすぎない、または重みのあるピアスを付ける頻度を下げるなどを意識するのも重要です。

ピアストラブルが起きてしまったら?

万が一、ピアストラブルが起こってしまったら、どう対処すればいいのでしょうか。
どのピアストラブルが起きても抑えておきたいポイントは以下の2つです。
当たり前のようで、焦るとつい忘れてしまうことなのでよく確認しておきましょう。

清潔に保つ

まず重要なのは、ピアスホール部分を清潔に保つという点です。
当たり前に感じる方も多いかもしれませんが、不用意に触らないことは大切です。
ついつい気になって触ってしまいがちになりますが、基本的に手は汚れていることが多いので触らないようにしましょう。
また、お風呂のシャワーで洗い流すことやピアスホールの前後を濡れた綿棒やコットンなどで拭き取るのもおすすめです。
ただ、洗い流しや拭き取りは、ピアストラブルの状態に合わせて行うようにします。
清潔に保つ点は、ピアスホールが安定してから、トラブルが生じないようにするためにも重要です。

病院に行く

痛みや炎症が強い場合、自分で判断できない場合には、病院に行きましょう。
ピアストラブルの相談には、皮膚科や形成外科がおすすめです。
ピアストラブルは、自然治癒に任せてつい放置しがちですが、薬が必要であったり、場合によっては手術が必要になります。
時間が経つほど症状が悪化して治りが悪くなるピアストラブルも多いので、早めの相談が重要です。
ピアスケロイドの場合は、再発の可能性もあるため、出来るだけケロイド専門医に相談するようにしましょう。

ピアスを変える

アレルギー反応によるピアストラブルの場合は、アレルギー対応のピアスに変えましょう。
肌に優しいものに付け替えることで、肌負担をできる限り軽減します。
付け替えることで余計に炎症が悪化しそうな場合は無理に付け替えず、病院に向かうことをおすすめします。

ピアスと上手に付き合おう

ここまで、ピアストラブルについて解説してきました。
ピアストラブルは、今ピアスが開いている方も、これから開けようとしている方も起こる可能性があります。
今からピアスを開ける方は皮膚科や美容クリニックで開けてもらうのがおすすめですし、何か不安があれば気軽に相談すると良いですね。
普段のケアでピアストラブルの可能性も軽減できるので、ピアスホールに負担をかけすぎない程度にお洒落を楽しみましょう。

監修医師

沼畑 岳央Numahata Takao

沼畑 岳央 日本形成外科学会形成外科専門医
略 歴
弘前大学医学部医学科卒業
茨城県立中央病院
東京大学医学部附属病院
東京大学医学部附属病院形成外科
埼玉県立小児医療センター形成外科
静岡県立こども病院形成外科
総合病院国保旭中央病院形成外科
がん研究会有明病院形成外科
東京大学医学部附属病院形成外科 助教
専 門
日本形成外科学会形成外科専門医
専門分野
形成外科一般、耳介形成・再建、乳房再建、マイクロサージャリー
美容外科、美容皮膚科(レーザー、ボトックス、ヒアルロン酸)など

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