【皮膚科】いぼを取る方法と種類別の治療法・費用を解説

【皮膚科】いぼを取る方法と種類別の治療法・費用を解説

いぼを皮膚科で取る方法とは?種類別の治療法・費用・セルフケアを解説

手や指、足の裏など、ふとした拍子に気づいた「いぼ」。「痛みはないから放っておけばいいかな」と思いつつ、なかなか消えないことへの不安や、人に見られることへの悩みをお持ちの方は少なくありません。市販薬を試したけれど効果が出ない、どのタイミングで皮膚科を受診すればよいのかわからない、という声も当院の外来では多く聞かれます。

この記事では、いぼの種類や原因から、自宅でできるセルフケア、皮膚科での治療法の選択肢、費用の目安まで、幅広くわかりやすく解説します。いぼでお悩みの方がご自身の状態を正しく理解し、適切な対処を選ぶ際のお役に立てれば幸いです。

  • いぼにはいくつかの種類があり、原因によって治療法が異なる
  • ウイルス性いぼ(尋常性疣贅)は感染するため、早めの対処が重要
  • 市販薬でのセルフケアが有効なケースと、皮膚科受診が必要なケースの違い
  • 皮膚科では液体窒素・レーザー・内服薬などの治療法が選択できる
  • 放置すると数が増えたり家族に感染したりするリスクがある

いぼとはどのような症状か

「いぼ」とは皮膚の一部が盛り上がった良性の腫瘤(しゅりゅう)の総称で、原因や見た目によっていくつかの種類に分けられます。日常会話では「いぼ」とひとまとめにされますが、医学的には原因が異なるため、治療法も変わってきます。

ウイルス性いぼ(尋常性疣贅/じんじょうせいゆうぜい)

最も多くみられるいぼで、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が原因です。手の指や手の甲、足の裏に好発し、表面がザラザラとした硬い盛り上がりが特徴です。黒い点(出血した毛細血管)が見えることもあります。感染力があるため、自分の体の他の部位に広がったり、家族にうつったりすることがあります。

扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)

やや扁平で薄茶色の小さないぼが顔や手の甲に多発するタイプです。同じくHPVが原因ですが、種類(型)が異なります。掻いたり触れたりすることで線状に広がりやすい(ケブネル現象)という特徴があります。

老人性疣贅(脂漏性角化症)

中高年以降に現れやすい、加齢に伴う皮膚の良性変化です。ウイルスとは無関係で、感染性はありません。黒っぽい〜茶色のやや盛り上がった病変で、ポロッとはがれそうな見た目が特徴です。美容的に気になる場合は治療の対象になります。

軟性線維腫(アクロコルドン・スキンタッグ)

首や脇、まぶたなどにできる、柔らかい小さな突起状のいぼです。加齢や摩擦が関係するとされており、ウイルス感染は関与しません。痛みはほぼありませんが、数が増えやすい傾向があります。

いぼができる主な原因

いぼの原因は種類によって大きく異なります。ウイルス性いぼの場合、HPVが皮膚の小さな傷口から侵入することで感染が成立します。プールや公衆浴場の床、タオルの共用なども感染経路の一つとされています。

免疫力の低下も発症リスクに影響するとされており、睡眠不足・過度なストレス・偏った食事などが続くと感染しやすくなる可能性があります。免疫力を維持するためには、ビタミンC・ビタミンD・亜鉛などの栄養素を意識的に摂ることが助けになるという考え方もあります。

老人性疣贅や軟性線維腫は、紫外線による皮膚ダメージの蓄積や加齢による皮膚細胞のターンオーバー(新陳代謝)の乱れが主な要因です。これらはウイルス感染とは無関係で、他者へうつる心配はありません。

自宅でできるセルフケア

症状が軽度の場合や、受診前のケアとして、いくつかの方法が考えられます。ただし、いぼの種類を正確に判断するのは難しいため、セルフケアと並行して皮膚科への相談も検討するとよいでしょう。

市販の角質軟化薬(サリチル酸製剤)の活用

ドラッグストアで購入できる「スピール膏」などのサリチル酸含有テープは、いぼの角質を軟化させて少しずつ除去する作用があります。使用する際は、薬剤師に「ウイルス性のいぼへの使用について」確認してから使うようにしましょう。いぼ以外の正常な皮膚に貼ると炎症を起こすことがあるため、患部のみに当てることが重要です。

生活習慣を整えて免疫力を支える

HPVなどのウイルスに対抗するには、免疫システムが正常に機能していることが大切です。十分な睡眠(7〜8時間を目安)、バランスのよい食事、適度な運動を心がけることが体の防御力を維持する基本となります。食事面では緑黄色野菜や発酵食品を積極的に取り入れ、腸内環境を良好に保つことも免疫機能の維持に寄与するとされています。

触れすぎない・傷つけない

ウイルス性いぼを爪で引っ掻いたり、ハサミで切ろうとしたりすると、ウイルスが周囲に広がり、数が増えるリスクがあります。患部はできるだけ刺激しないようにし、タオルや爪切りの共用も避けることが大切です。

皮膚科を受診すべきタイミング

次のような状況が当てはまる場合は、早めに皮膚科を受診することを検討してください。

  • 市販薬を1〜2か月使用しても変化がない、またはいぼが増えている
  • 足の裏のいぼが痛くて歩行に支障が出ている
  • 顔・首・まぶたなどデリケートな部位にできている
  • 子どもの手足にいぼが複数できている
  • 急激に数が増えた、または大きくなってきた
  • いぼとほくろ・シミの区別がつかず不安がある
  • 糖尿病・免疫抑制剤使用中など、免疫機能が低下している状態にある

特に足の裏のいぼ(足底疣贅)は「たこ」や「うおのめ」と見た目が似ているため、自己判断での処置が症状を悪化させるケースがあります。区別に迷ったら皮膚科での確認をお勧めします。

苅部医師のコメント

当院では「ずっとたこだと思っていたら、実はウイルス性のいぼだった」というケースが非常に多くみられます。足の裏のいぼは圧迫されて平坦になりやすく、たこと区別がつきにくいのですが、表面を削ると中に黒い点(毛細血管)が見えるのがいぼの特徴です。自己処置を続けて症状が広がってしまってから受診される方もいらっしゃいますので、「なかなか治らない硬い皮膚」があれば早めにご相談いただくことをお勧めします。

皮膚科での主な治療法と費用の目安

皮膚科でのいぼ治療には複数の選択肢があります。いぼの種類・大きさ・部位・数などを総合的に判断したうえで、医師が治療法を提案します。

液体窒素による冷凍凝固療法

最も広く行われている治療法で、−196℃の液体窒素をいぼに当てて組織を壊死させる方法です。保険適用で受けられ、1〜2週間おきに複数回繰り返すことが多いです。処置時に「チクッ」とした痛みや、術後の腫れ・水ぶくれが生じることがあります。

サリチル酸外用薬・角質溶解剤の処方

高濃度のサリチル酸製剤を処方し、角質を溶かしてウイルスを含む組織を除去していく方法です。冷凍凝固と組み合わせて使用することもあります。

ヨクイニン(漢方薬)の内服

ハトムギの種子から作られる漢方薬で、免疫機能を高めることでいぼを改善させると考えられています。副作用が比較的少なく、子どもや高齢者にも使いやすい選択肢です。単独または冷凍凝固との併用で用いられます。

レーザー治療・電気焼灼(自費診療)

冷凍凝固で効果が出にくい難治性のいぼや、顔・首など美容的に気になる部位のいぼには、CO2フラクショナルレーザーや電気焼灼(電気メスで焼く治療)が選択肢になることがあります。臨床現場で実感したのは、特に難治性のいぼに対しては単一の治療法よりも複数の治療法を組み合わせることで、より高い治療効果が期待できるということです。当院でもご相談いただける治療法です。

老人性疣贅・軟性線維腫への対応

老人性疣贅や首のスキンタッグは、液体窒素・電気焼灼・レーザーなどで除去できます。ウイルス性でないため1回の処置で対応できるケースも多くあります。美容目的の場合は自費診療となることが一般的です。気になる方はカウンセリング時にご相談ください。

治療法の比較表

治療法 保険適用 主な対象 回数の目安 特徴・注意点
液体窒素(冷凍凝固) あり ウイルス性いぼ 数回〜十数回 処置時に痛みあり。根治まで時間がかかることも
サリチル酸外用薬 あり ウイルス性いぼ 継続使用 冷凍凝固との併用が多い。正常皮膚への付着に注意
ヨクイニン(内服) あり ウイルス性いぼ 数か月継続 副作用少なく子どもにも使用可。効果に個人差あり
CO2レーザー・電気焼灼 原則なし(自費) 難治性・美容目的 1〜数回 即効性が高いが費用がかかる。傷跡に注意
市販のサリチル酸テープ なし(自己購入) 軽度のウイルス性いぼ 継続使用 薬剤師に確認のうえ使用。改善なければ受診を

見落としがちなポイント・よくある誤解

誤解①「いぼは放っておけばいずれ自然に治る」

ウイルス性いぼは免疫力が高まれば自然消退することもありますが、実際には数か月〜数年かかる場合があり、その間に数が増えたり家族にうつったりするリスクがあります。2022年に発表されたシステマティックレビューでは、治療なしの自然消退率は2年間で約65%と報告されていますが、一方で残り約35%は持続または増悪することも示されています。「待てば治る」と考えて長期間放置するよりも、早期に皮膚科で対処することで感染拡大を防ぎやすくなります。

誤解②「ほくろとの区別は見た目でわかる」

いぼとほくろ、さらには悪性黒色腫(メラノーマ)は素人目には区別が難しいことがあります。「急に大きくなってきた」「形が不規則」「色ムラがある」といった場合は、自己判断で市販薬を使用せず、皮膚科でダーモスコピー(皮膚鏡)を使った専門的な検査を受けることをお勧めします。

よくある質問

Q. 液体窒素の治療は何回くらいで終わりますか?
いぼの大きさ・部位・個人の免疫力によって大きく異なりますが、一般的には1〜2週間ごとの通院で数回〜十数回程度が目安とされています。足の裏のいぼは皮膚が厚く、比較的多くの回数を要することがあります。担当医師と相談しながら治療を進めることが大切です。
Q. 子どものいぼも皮膚科で治療できますか?
はい、子どものいぼも皮膚科で診療できます。お子さんの場合は痛みへの不安を考慮してヨクイニンの内服から始めることも多く、年齢や症状に応じた対応が可能です。学校やプールでの感染リスクもあるため、早めにご相談されることをお勧めします。
Q. 保険診療でいぼを取ることはできますか?
ウイルス性いぼ(尋常性疣贅・扁平疣贅など)の治療は原則として健康保険の適用を受けられます。一方、老人性疣贅(脂漏性角化症)や軟性線維腫を美容目的で除去する場合は自費診療となることが一般的です。受診時に医師に確認するとよいでしょう。

まとめ

いぼにはウイルス性・加齢性・摩擦性などいくつかの種類があり、原因によって治療法が異なります。ウイルス性いぼは感染性があるため、早めに対処することが自分自身や家族への感染拡大を防ぐうえで重要です。

市販薬でのセルフケアも選択肢の一つですが、「いぼの種類が不明」「長期間使用しても改善しない」「顔や足の裏にある」「数が増えてきた」などの場合は、皮膚科を受診して適切な治療を受けることをお勧めします。皮膚科では液体窒素・内服薬・レーザーなどさまざまな選択肢があり、症状に合わせた対応が可能です。

気になる症状があれば、まずは皮膚科にご相談ください。麹町皮ふ科・形成外科クリニック(千代田区市ヶ谷)でも、いぼに関するご相談を承っております。どうぞお気軽にご来院ください。

参考情報・出典

監修医師

苅部 淳 形成外科専門医・麹町皮ふ科・形成外科クリニック 理事長

苅部 淳

Karibe Jun

理事長

略 歴

順天堂大学医学部卒業
東京大学附属病院形成外科 入局
埼玉医大総合医療センター 形成外科・美容外科 助教
山梨大学附属病院形成外科 助教・医局長
各病院での臨床経験を経て形成外科専門医取得
2019年 麹町皮ふ科・形成外科クリニック 開院(千代田区市ヶ谷)
2021年 BIOTOPE CLINIC 白金 開院(港区白金)

資 格

日本形成外科学会 形成外科専門医
日本抗加齢学会 専門医
日本医師会認定産業医
アラガン社 ボツリヌス注射・ヒアルロン酸 VST認定医

受 賞

東京大学形成外科 最優秀賞(2016年)
日本形成外科学会 優秀賞(2018年)
ASPS(アメリカ形成外科学会)優秀演題発表(2018年)

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を保証するものではありません。気になる症状・お悩みがある場合は専門医にご相談ください。
参考:日本美容外科学会(JSAPS)日本皮膚科学会

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