【接触皮膚炎】原因・治療法と症状をわかりやすく解説

接触皮膚炎(かぶれ)とは?症状・原因・治療法をわかりやすく解説

「金属アクセサリーを身につけたら肌が赤くなった」「洗剤を使ったあとに手がかゆくなった」「化粧品を変えたら顔がかぶれてしまった」——こうした経験をしたことはないでしょうか。これらはすべて接触皮膚炎(かぶれ)のサインかもしれません。

接触皮膚炎は日常生活のなかでよく起こる皮膚トラブルですが、原因がわからないまま放置すると症状が長引いたり、繰り返したりすることがあります。

この記事では、接触皮膚炎の症状の特徴・原因・自宅でできるセルフケア・皮膚科での治療法まで、一般の方にわかりやすくお伝えします。「これってかぶれ?」と気になっている方の参考になれば幸いです。

接触皮膚炎(かぶれ)とはどんな病気?

接触皮膚炎とは、皮膚に何らかの物質が触れることで起こる炎症性の皮膚疾患です。医療現場では「かぶれ」と呼ばれることも多く、日本語の正式な病名としては「接触皮膚炎」と表記されます。

肌に直接触れた部分や、その周辺に赤み・かゆみ・腫れ・水ぶくれなどが現れるのが特徴です。症状が出る場所が「接触した部位に一致している」ことが、接触皮膚炎の大きなヒントになります。

代表的な症状

  • かゆみ:接触皮膚炎で最もよく見られる自覚症状です
  • 赤み(紅斑):触れた部位の皮膚が赤くなります
  • 腫れ(浮腫):皮膚がふっくらと腫れ上がることがあります
  • 水ぶくれ(水疱):小さな水疱が集まって現れることがあります
  • 皮膚のジュクジュク(滲出液):水疱が破れると浸出液が出ることがあります
  • 皮膚のカサつき・ひび割れ:慢性化すると乾燥・亀裂が生じることがあります

症状は触れた物質の種類や量、体の免疫状態によって軽いものから重いものまで幅があります。顔・手・首など露出しやすい部位に症状が出やすい傾向がありますが、原因物質に触れた部位であればどこにでも起こりえます。

2種類の接触皮膚炎:刺激性とアレルギー性

接触皮膚炎は大きく「刺激性接触皮膚炎」「アレルギー性接触皮膚炎」の2種類に分けられます。どちらも症状は似ていますが、発症のしくみが異なります。

刺激性接触皮膚炎は、強い化学物質や摩擦などが皮膚を物理的・化学的に傷つけることで起こります。アレルギー反応ではないため、誰でも起こりえます。洗剤や消毒薬による手荒れが典型的な例です。

アレルギー性接触皮膚炎は、特定の物質に対して免疫が過剰反応することで起こります。最初に触れたときはなんともなくても、繰り返し触れるうちにアレルギーが成立し(感作)、その後少量でも反応するようになります。金属かぶれや化粧品かぶれに多いタイプです。

接触皮膚炎の主な原因

接触皮膚炎の原因となる物質(原因物質)は非常に多岐にわたります。日常生活のなかに潜んでいることがほとんどで、意外なものが原因になっていることもあります。

金属・アクセサリー

ニッケル・コバルト・クロムなどの金属は、アレルギー性接触皮膚炎の代表的な原因です。ピアス・ネックレス・腕時計のベルト・ベルトのバックルなどに含まれていることがあります。

特にピアスホールの周囲にかゆみや赤みが出る場合は、金属アレルギーが疑われます。金属を含む硬貨やジッパーなどの日用品も原因になることがあります。

化粧品・スキンケア用品

化粧品・日焼け止め・シャンプー・コンディショナー・保湿剤などに含まれる防腐剤・香料・乳化剤などが原因になることがあります。新しい製品を使い始めたあとに症状が出た場合は特に注意が必要です。

顔・まぶた・首など皮膚が薄くデリケートな部位は反応が出やすい傾向があります。外来でも、新しい化粧品の使用開始直後にこうした症状を訴える患者様を多く診ることからも、慎重な製品選びが重要です。

洗剤・洗浄剤・消毒薬

台所洗剤・洗濯洗剤・漂白剤・消毒用アルコールなどは、繰り返し接触することで刺激性接触皮膚炎を引き起こしやすい物質です。特に手指の皮膚バリアが低下している場合は、より症状が出やすくなります。

医療従事者や飲食業など、手洗いや消毒の機会が多い職業の方に多い傾向があります。

植物・自然界の物質

ウルシ・ギンナン・サクラソウ・キク科の植物など、触れることでアレルギーを起こしやすい植物があります。ガーデニングや野山での作業後に症状が出た場合は植物かぶれを疑ってみましょう。

衣類・繊維・ゴム製品

衣類の染料・繊維処理剤・ゴム手袋に含まれる加硫促進剤なども原因になります。下着のゴムや靴の素材が当たる部位に限定して症状が出る場合は繊維・ゴムかぶれが疑われます。

外用薬・貼り薬(パッチ)

湿布・テープ剤・外用抗菌薬・点眼薬などの薬そのものや、薬に含まれる基剤・添加物がアレルギーを引き起こすことがあります。薬を使い始めてから症状が出た場合は、自己判断で使い続けずに医療機関へ相談することが大切です。

接触皮膚炎のセルフケアでできること

接触皮膚炎と思われる症状が出たとき、まず自宅でできることを知っておくと役立ちます。ただし、セルフケアはあくまで症状の悪化を防ぐためのものであり、原因の特定や根本的な治療は皮膚科での診察が必要です。

原因物質から離れる(これが最優先)

接触皮膚炎の改善に最も重要なのは、原因物質との接触を断つことです。何を使ったあとに症状が出たかを振り返り、心当たりのある物質の使用をいったん中止してみましょう。

金属アクセサリーであれば外す、化粧品であれば使用をやめるなど、できる範囲で接触を避けることが症状の改善につながります。

触れた部位を洗い流す

刺激物や原因と思われる物質が皮膚についた場合は、すみやかにぬるま湯と石けんで優しく洗い流すことが大切です。ゴシゴシとこすると皮膚バリアを傷つけるため、泡立てた石けんを使って丁寧に洗いましょう。

患部を清潔に保ち、保湿する

皮膚が乾燥すると刺激に対してより敏感になります。症状が落ち着いてきたら、無香料・無添加タイプの保湿剤で患部を保湿することが皮膚バリアの回復を助けます。ただし、症状が強い時期(ジュクジュク・水ぶくれが多い時期)は保湿剤の塗布が刺激になることもあるため、医師に相談しながら行いましょう。

かかない・触らない

かゆくても患部をかいてしまうと、皮膚バリアがさらに損傷し、症状が悪化したり二次感染(細菌感染)を起こしたりするリスクがあります。冷やしたタオルを当てて冷却することで、かゆみをやわらげることができます。

市販の外用薬について

軽度のかぶれであれば、市販のステロイド外用薬(ヒドロコルチゾン含有製品など)を使用することがあります。ただし、使用する部位・期間・強度の選択を誤ると症状が悪化することもあるため、薬剤師に相談のうえ使用することを検討してください。目の周囲・顔・陰部など皮膚が薄い部位への市販ステロイド薬の使用は慎重に行う必要があります。

生活習慣でバリア機能をサポートする

皮膚のバリア機能を維持・回復するには、日々の生活習慣も重要です。バランスの良い食事からビタミンC(柑橘類・ブロッコリー)、ビタミンE(ナッツ類・植物油)、亜鉛(牡蠣・肉類)などを摂ることは、皮膚の回復を助けると考えられています。

腸内環境の乱れがアレルギー反応に影響するという研究も報告されており、発酵食品(ヨーグルト・納豆・味噌など)や食物繊維(野菜・海藻類)を日常的に取り入れることも参考になります。また、睡眠不足や慢性的なストレスは免疫バランスを乱し、皮膚トラブルを悪化させる要因になるため、十分な休息とリフレッシュを意識することも大切です。

皮膚科を受診すべきタイミング

症状が軽い場合はセルフケアで改善することもありますが、次のような状況では早めに皮膚科を受診することを検討してください。自己判断による対処が症状を長引かせることもあります。

  • かゆみや赤みが強く、日常生活に支障が出ている
  • 水ぶくれが多発している、または破れてジュクジュクしている
  • 1週間以上経っても症状が改善しない、または悪化している
  • 顔・まぶた・口唇などに強い腫れがある
  • 発熱・全身のかゆみ・じんましんなど皮膚以外の症状も伴っている
  • 原因がわからず、繰り返し同じ部位に症状が出る
  • 子どもや高齢者に症状が出ている

特に顔や目の周りに症状が出た場合は、見た目への影響だけでなく、眼球などへの影響を防ぐためにも早めに受診するようにしましょう。

皮膚科での主な治療法

皮膚科では問診・視診・必要に応じた検査をもとに、原因を特定して適切な治療を行います。臨床現場で実感したのは、患者様が『いつ頃から』『何をしたときに』という詳細な発症の経緯を思い出してもらうことが、原因物質の特定に大きく役立つということです。

パッチテスト(貼布試験)

アレルギー性接触皮膚炎が疑われる場合は、パッチテストという検査を行うことがあります。これは、疑わしい原因物質を皮膚に貼り付け、時間を置いて反応を観察する検査です。典型的なアレルゲンを含むパッチテストパネルを使用することが一般的です。

ステロイド外用薬

炎症が強い場合は、ステロイド外用薬を使用します。症状の程度や部位に応じて、弱いものから強いものまで複数の選択肢があります。顔などデリケートな部位には弱めのステロイド、または非ステロイド系の抗炎症薬を選択します。

非ステロイド系外用薬

顔や陰部などステロイド薬の使用が慎重な部位では、タクロリムスやピメクロリムスといった非ステロイド系の免疫調整薬が選択されることもあります。

抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬

かゆみが強い場合は、内服の抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を処方することがあります。これにより、かゆみによる掻破を防ぎ、皮膚の二次的な損傷を防ぐことができます。

原因物質の特定と回避指導

治療と同等に重要なのが、原因物質の特定と回避です。医師は、検査結果と臨床情報をもとに患者様に詳しく説明し、日常生活での対応をアドバイスします。繰り返す症状を防ぐためには、原因物質を知り、接触を避けることが不可欠です。

参考情報・出典

監修医師

苅部 淳 形成外科専門医・麹町皮ふ科・形成外科クリニック 理事長

苅部 淳

Karibe Jun

理事長

略 歴

順天堂大学医学部卒業
東京大学附属病院形成外科 入局
埼玉医大総合医療センター 形成外科・美容外科 助教
山梨大学附属病院形成外科 助教・医局長
各病院での臨床経験を経て形成外科専門医取得
2019年 麹町皮ふ科・形成外科クリニック 開院(千代田区市ヶ谷)
2021年 BIOTOPE CLINIC 白金 開院(港区白金)

資 格

日本形成外科学会 形成外科専門医
日本抗加齢学会 専門医
日本医師会認定産業医
アラガン社 ボツリヌス注射・ヒアルロン酸 VST認定医

受 賞

東京大学形成外科 最優秀賞(2016年)
日本形成外科学会 優秀賞(2018年)
ASPS(アメリカ形成外科学会)優秀演題発表(2018年)

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を保証するものではありません。気になる症状・お悩みがある場合は専門医にご相談ください。
参考:日本美容外科学会(JSAPS)日本皮膚科学会

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