いぼを皮膚科で取る!
<原因・治療法・受診のタイミングを医師監修で解説>

手や足、顔などにいつの間にかできていたいぼ。「自然に消えるかな」と様子を見ていたら、なかなか治らないどころか増えてしまった、という経験はありませんか。
いぼは見た目の悩みだけでなく、感染リスクもあるため、適切な対処が大切です。
この記事では、いぼの種類・原因から、皮膚科でおこなわれる主な治療法、自宅でのセルフケアの注意点まで、医師監修のもとわかりやすく解説します。「どの方法で取ればいいか迷っている」という方は、ぜひ最後までお読みください。
- いぼの種類と主な原因(ウイルス性・老人性・扁平上皮など)
- 皮膚科でいぼを取る代表的な治療法(液体窒素・レーザーなど)
- セルフケアでできること・してはいけないこと
- 皮膚科を受診すべきタイミングと受診の目安チェックリスト
- いぼに関するよくある誤解と正しい知識
いぼとは?種類と見た目の特徴

「いぼ」とは、皮膚の一部が盛り上がったり、ざらついたりする状態の総称です。医学的には原因や見た目によっていくつかの種類に分類されます。自己判断でセルフケアをおこなう前に、どの種類のいぼかを正確に把握することが大切です。
ウイルス性いぼ(尋常性疣贅)
ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって起こるいぼで、医学用語では「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」と呼ばれます。表面がざらざらして硬く、指や手の甲、足の裏などにできやすいのが特徴です。
足の裏にできるものは「足底疣贅」とも呼ばれ、歩くたびに皮膚の中へ向かって押し込まれるため、たこのように見えることがあります。見た目だけで判断すると見誤るケースもあるため、気になる場合は皮膚科での診断をおすすめします。
扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)
HPVの別の型(主にHPV3型・10型)による感染で起こる、扁平で小さないぼです。顔や手の甲に多く、肌色〜やや茶色がかった色をしていることが多いです。引っかいたり触れたりすることで周囲に広がりやすい点に注意が必要です。
老人性いぼ(脂漏性角化症)
加齢とともに皮膚の角質が増殖してできる良性腫瘍で、「脂漏性角化症」とも呼ばれます。ウイルスとは無関係で感染性はありません。顔・首・体幹に多く、茶褐色〜黒色で表面がざらざらしたものが多いです。40代以降から増えはじめ、70代では相当数の方にみられるとされています。
軟性線維腫(アクロコルドン)
首や脇の下などに多く見られる、皮膚から細い根のようなものでぶら下がったような小さないぼです。ウイルス性ではなく、摩擦や加齢が原因と考えられています。「首イボ」とも呼ばれ、美容的な理由でご相談をいただくことの多い状態です。
みずいぼ(伝染性軟属腫)
伝染性軟属腫ウイルスによる感染で起こり、主に子どもに多いいぼです。表面がつるっとしており、中央にくぼみがあるのが特徴です。プールや肌の触れ合いなどで感染が広がることがあります。
いぼができる主な原因

いぼの原因はその種類によって異なります。ウイルス性のいぼはHPVへの感染が原因です。HPVは皮膚の小さな傷や湿った環境を通じて侵入し、免疫力が低下しているときに発症しやすいとされています[1]。
足の裏のいぼは、プールの床やスポーツジムの更衣室など、裸足で歩く場所での接触感染が多いとされています。手のいぼは、ネイルなどで爪の周りを傷つけた際に感染しやすくなります。
老人性いぼ(脂漏性角化症)は感染性がなく、加齢や紫外線による累積ダメージ、ホルモンバランスの変化などが関与すると考えられています。遺伝的な要因も指摘されており、家族に多い方は注意が必要です。
当院の外来では、「いつの間にかいぼが増えてしまった」「免疫が落ちているときに一気に広がった」というご相談が増えています。特にアトピー性皮膚炎などで肌のバリア機能が低下している方は、ウイルス性いぼが広がりやすい傾向があります。
セルフケアでできること・してはいけないこと

いぼに対して自宅でできるセルフケアは限られています。まず重要なのは、「これはいぼか」を正確に判断することです。たこや魚の目、悪性腫瘍との見分けが難しいケースもあるため、自己判断でのセルフケアはリスクを伴います。
市販のいぼ取り薬の使い方と注意点
ドラッグストアには、サリチル酸を主成分とするいぼ用の外用薬が販売されています。サリチル酸は角質を軟化させる作用があり、ウイルス性いぼの角化した部分を徐々に取り除く効果が期待されています。ただし、顔・粘膜・目の周り・陰部などへの使用は避けてください。
市販薬を使用する際は、必ず添付文書をよく読み、使い方や禁忌部位を確認することが大切です。用法・用量を守り、改善が見られない場合は自己判断で長期使用を続けず、薬剤師または皮膚科医にご相談ください。
してはいけないこと
- はさみや爪切りで自分でいぼを切り取ろうとする行為(出血・感染・傷跡のリスクがあります)
- 強く引っかいたり、こすったりする行為(周囲への感染が広がる場合があります)
- テープや包帯でぐるぐる巻きにして「窒息させようとする」民間療法(効果が不明確で皮膚トラブルの原因になります)
- いぼを指で繰り返し触る行為(指の皮膚にも感染するリスクがあります)
よくある誤解と見落としがちなポイント

いぼに関しては、インターネット上に誤った情報も多く流通しています。ここでは特に多い誤解を整理します。
誤解1:「いぼは自然に消えるから放置してよい」
確かに、ウイルス性いぼは自然免疫によって消えることがあります。特に小児のみずいぼは、治療しなくても数か月〜2年程度で自然退縮するケースがあります。しかし、成人のウイルス性いぼは免疫が追いつかず、放置すると数が増えたり他の部位に広がったりすることがあります。
また、「いぼだと思っていたら悪性腫瘍だった」というケースも実際の診療ではみられます。特に急に大きくなるもの・出血するもの・色が黒く不均一なものは、皮膚科で早急に診てもらうことを強くおすすめします。
誤解2:「いぼは感染しない」
ウイルス性のいぼ(尋常性疣贅・扁平疣贅・みずいぼなど)は、感染性があります。タオルや衣類の共用、プールや銭湯での接触などで他者にうつす可能性があります。「感染しない」という誤解から感染予防を怠るのは危険です。
一方で、老人性いぼ(脂漏性角化症)や軟性線維腫はウイルスとは無関係のため、感染性はありません。種類を正しく把握することが、正確な対処につながります。
苅部医師のコメント
「当院では、『市販薬を数か月使っても治らなかった』という理由でご来院される患者さんが多くみられます。
いぼの種類によっては市販薬が効きにくいものもありますし、そもそもいぼではなく別の皮膚疾患だったというケースも少なくありません。
自己判断での長期ケアよりも、早めに皮膚科で診断を受けていただくことで、治療の選択肢が広がりますし、周囲への感染リスクも下げられます。
いぼは『ちょっとしたこと』と思われがちですが、適切なタイミングで受診されることをおすすめしています。」
皮膚科を受診すべきタイミング

以下に当てはまる場合は、早めに皮膚科の受診を検討してください。自己判断では見極めが難しい状態も多いため、気になる症状があれば早めの受診が安心です。
- 市販薬を2〜3か月使用しても改善がみられない
- いぼの数が増えてきた、または広がってきた
- いぼが急に大きくなった
- いぼから出血している、または触れると痛みがある
- いぼの色が黒く、形・色が不均一
- 免疫が低下している(透析中・免疫抑制薬使用中・糖尿病等)
- 顔や陰部など、市販薬が使えない部位にいぼがある
- 子どもや同居家族にいぼが広がっている
- 足の裏にいぼがあり、歩くたびに痛みを感じる
皮膚科での主な治療法
皮膚科でおこなわれるいぼの治療法は複数あります。いぼの種類・大きさ・部位・患者さんの年齢や状態によって最適な方法が異なります。以下に代表的な治療法を解説します。
液体窒素療法(冷凍凝固療法)
-196度の液体窒素を綿棒や専用スプレーでいぼに当て、細胞を凍結させて壊死させる治療法です。保険適用で受けられ、最も広く用いられている方法の一つです。1回の治療で取れることは少なく、2〜4週間ごとに複数回繰り返す必要があります。
処置中・処置後は痛みや赤み、水ぶくれが生じることがあります。足の裏や指先など圧力がかかる部位では特に痛みを感じやすい傾向があります。通院が可能な方には適した治療法です。
サリチル酸外用療法
サリチル酸の高濃度外用薬(スピール膏など)を患部に貼り、角質を軟化・除去していく方法です。液体窒素との併用でより効果が高まることが知られています。自宅でのセルフケアとして市販品を使う場合も同じ原理ですが、医療機関では高濃度製剤を使用できるため効果が異なります。
CO2レーザー(炭酸ガスレーザー)
炭酸ガスレーザーでいぼを直接蒸散させる治療法です。液体窒素に比べて治療回数が少なくて済む場合があり、大きないぼや難治性のいぼに用いられることがあります。自費診療となることが多く、処置後はかさぶたができ、完全な治癒まで数週間かかります。
当院でも、CO2フラクショナルレーザーをはじめとしたレーザー治療を取り扱っています。いぼの種類や部位によって適した治療法が変わりますので、詳しくはご相談ください。
ヨクイニン内服(漢方療法)
ハトムギの種皮を原料とした漢方薬「ヨクイニン」は、皮膚の免疫を高める作用があるとされ、いぼ治療の補助として保険適用で処方されることがあります。即効性はありませんが、液体窒素との併用で治療効果を高めることが期待されています。特にお子さんや、痛みのある処置が難しい場合に用いられやすい方法です。
イミキモドクリーム
免疫を活性化させる外用薬で、主に尖圭コンジローマ(陰部のいぼ)に用いられます。自己免疫応答を促すことでウイルス感染細胞を排除する仕組みです。週3回程度の塗布を続けることで効果が期待されます。
ブレオマイシン局所注射
抗腫瘍薬であるブレオマイシンをいぼに局所注射する方法で、難治性のいぼに用いられることがあります。治療効果は比較的高いとされていますが、疼痛が強い場合があり、適応は慎重に判断されます。
いぼ治療法の比較表
| 治療法 | 保険適用 | 回数の目安 | 痛み | 主な対象 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 液体窒素療法 | あり | 複数回(2〜4週ごと) | あり | ウイルス性いぼ全般 | 最も一般的。水ぶくれができることがある |
| サリチル酸外用 | あり(処方薬) | 継続使用 | ほぼなし | ウイルス性いぼ(手足) | 液体窒素との併用で効果が高まることがある |
| CO2レーザー | 原則自費 | 1〜数回 | 局所麻酔で対応可 | 難治性・老人性いぼ | 回数が少なく済む場合がある。傷跡に注意 |
| ヨクイニン内服 | あり | 継続服用 | なし | ウイルス性いぼ・みずいぼ | 即効性は低いが補助的に有効。お子さんにも使いやすい |
| イミキモドクリーム | 適応による | 週3回を継続 | かゆみ・炎症あり | 尖圭コンジローマ | 免疫応答を利用した治療。皮膚刺激に注意 |
| ブレオマイシン局所注射 | あり(適応症例) | 数回 | 強め | 難治性ウイルス性いぼ | 他の治療で改善しない場合に使用 |
いぼ治療における学術的な知見
ウイルス性いぼ(尋常性疣贅)の治療において、液体窒素療法は世界的にも第一選択として広く用いられています。ある研究では、液体窒素療法を繰り返し実施した場合の消退率は約60〜80%と報告されており、治療回数の増加とともに効果が高まることが示されています。
一方で、サリチル酸外用薬との組み合わせ療法は、液体窒素単独と比べて治癒率が高くなるという報告もあります[2]。また、ヨクイニンとの併用についても、免疫応答を高めることで治療期間を短縮できる可能性があるとされています。
みずいぼ(伝染性軟属腫)については、小児を対象とした観察研究で、無治療の場合でも約70〜80%が18か月以内に自然消退したという報告があります。ただし、アトピー性皮膚炎を合併している場合は自然消退が遅れる傾向があるとされています[3]。
よくある質問
- Q. いぼを皮膚科で取るのに痛みはありますか?
- 液体窒素療法では、処置中にしみるような痛みや灼熱感があります。処置後も1〜2日ほど痛みや腫れが続くことがあります。CO2レーザーでは局所麻酔を使用するため、処置中の痛みを和らげることができます。痛みの感じ方には個人差がありますので、不安な場合は受診時に医師にご相談ください。
- Q. 1回の治療でいぼは取れますか?
- いぼの種類・大きさ・体の免疫状態によって異なります。液体窒素療法では多くの場合、複数回(5〜10回程度)の通院が必要です。CO2レーザーは比較的少ない回数で対処できる場合もありますが、再発の可能性がないとは言えません。根気よく治療を続けることが大切です。
- Q. 子どものみずいぼは治療したほうがよいですか?
- みずいぼは自然に消えることが多く、治療をおこなうかどうかは状況によって判断が変わります。プールへの参加制限や家族への感染拡大が心配な場合、または数が多く広がっている場合は治療を検討することがあります。お子さんの状態や保護者の方のご希望をもとに、皮膚科医と相談しながら方針を決めていただくのがよいでしょう。
まとめ
いぼには種類があり、ウイルス性・老人性・軟性線維腫などで原因も対処法も異なります。「自然に消えるだろう」と放置していると、数が増えたり周囲に広がったりするリスクがあるため、早めに正確な診断を受けることが重要です。
皮膚科では液体窒素療法を中心に、サリチル酸外用・レーザー・漢方など複数の治療法を組み合わせて対応できます。市販薬でのセルフケアには限界があり、間違った使い方は皮膚トラブルにつながることもあります。「なかなか治らない」「広がっている気がする」と感じたら、一度皮膚科を受診してみてください。
当院(麹町皮ふ科・形成外科クリニック)では、一般皮膚科として保険診療によるいぼの治療に対応しています。また、老人性いぼや美容的なお悩みについては自費診療の相談も承っています。市ヶ谷・半蔵門・永田町エリアでいぼについてお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
気になる症状があれば皮膚科へご相談ください
セルフケアで改善しない、症状が長引いている、原因が分からないといった場合は、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。麹町皮ふ科・形成外科クリニック(千代田区市ヶ谷)でもご相談いただけます。
所在地: 東京都千代田区(市ヶ谷/半蔵門/永田町) / 監修: 苅部 淳 医師(形成外科専門医)
References
- 日本皮膚科学会『皮膚科Q&A いぼ(疣贅)』https://www.dermatol.or.jp/
- 日本皮膚科学会『ウイルス性疣贅診療ガイドライン2019』https://www.dermatol.or.jp/
- 国立感染症研究所『伝染性軟属腫(みずいぼ)に関する情報』https://www.niid.go.jp/
- 厚生労働省『医療広告ガイドライン』2018年 https://www.mhlw.go.jp/
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監修医師

苅部 淳
Karibe Jun
理事長
略 歴
資 格
受 賞
苅部 淳 理事長の発信
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