顔の赤みがなかなか治らない……その原因と対処法を皮膚科医が解説

「顔が赤くなって、もう何週間も治らない」「洗顔後やお風呂上がりに赤みが出て、なかなか引かない」——そのようなお悩みをお持ちの方は少なくありません。顔の赤みは一時的なものと思っていても、実は皮膚疾患や体の状態を反映しているケースがあります。
この記事では、顔の赤みが治らない主な原因から、セルフケアの方法、皮膚科を受診すべきタイミングまでをわかりやすく解説します。ご自身の症状と照らし合わせながらお読みください。
- 顔の赤みが治らない主な原因(疾患・生活習慣・スキンケアなど)
- 赤みの種類ごとの特徴と見分け方
- 自宅でできるセルフケアのポイント
- 皮膚科を受診すべき症状のチェックリスト
- 皮膚科での主な治療法と選択肢
顔の赤みとはどのような状態か

顔の赤みとは、皮膚表面に近い毛細血管が拡張・充血することで、皮膚が赤く見える状態を指します。一時的な赤みであれば緊張や気温変化など生理的な反応によるものがほとんどですが、長期間にわたって赤みが続く場合は、何らかの皮膚疾患や体の不調が関係していることがあります。
赤みの現れ方はさまざまで、頬全体が赤くなるケース、鼻まわりや小鼻が赤くなるケース、額やあごに集中するケースなど、部位によって原因が異なることもあります。また、かゆみや熱感、ヒリヒリ感、鱗屑(りんせつ:皮膚がパラパラと剥がれること)を伴うかどうかも、原因を絞り込む重要な手がかりになります。
「化粧で隠せるから大丈夫」「日焼けしただけかな」と放置してしまう方も多いですが、治療が必要な疾患が潜んでいる場合もあるため、赤みの特徴をきちんと把握することが大切です。
顔の赤みが治らない主な原因

顔の赤みが長引く原因は多岐にわたります。以下では、特に多くみられる原因を詳しく説明します。
1. 酒さ(しゅさ/ロザセア)
酒さは、30〜50代に多くみられる慢性的な皮膚疾患で、顔の中央部(鼻・頬・額・あご)に持続的な赤みや血管の拡張、ニキビのような丘疹・膿疱が現れるのが特徴です。灼熱感やほてりを伴うこともあります。
日光・アルコール・辛い食べ物・温度変化などの刺激が症状を悪化させやすいと考えられています。酒さは自然に治ることは少なく、適切な治療なしに放置すると慢性化しやすいため、早めの受診が推奨されます[1]。
欧米の疫学研究では成人の約5〜10%に酒さの症状が認められると報告されており、日本国内でも近年認知度が高まっています。
2. アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下し、外部からのアレルゲンや刺激に反応しやすくなることで、かゆみを伴う湿疹が繰り返し現れる慢性炎症性疾患です[2]。顔にも発症しやすく、頬・額・まぶたまわりなどに赤みや乾燥、ガサつきが続くことがあります。
「子どものうちに治った」と思っていても、成人後に再燃するケースも少なくありません。また、スキンケアや環境要因によって症状の波があるため、「治った」「再発した」を繰り返しやすい疾患です。
3. 脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)
脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が多い部位(額・小鼻まわり・眉間など)に赤みやフケのような鱗屑が現れる皮膚疾患です。マラセチアというカビの一種が関与していると考えられています。かゆみを伴うこともあります。
季節の変わり目や疲労・ストレスで悪化しやすく、「顔がかさかさしてフケが落ちる」「Tゾーンが赤い」という方は脂漏性皮膚炎が疑われます。
4. 接触性皮膚炎(かぶれ)
化粧品・洗顔料・日焼け止め・金属・植物など、特定の物質に皮膚が触れることで起こる炎症反応です。赤み・かゆみ・腫れ・水ぶくれなどが現れます。新しいスキンケアアイテムを使い始めたタイミングで症状が出た場合は、接触性皮膚炎が疑われます。
原因物質を使い続けていると炎症が長引くため、心当たりのある製品の使用を一度中止することが大切です。ただし、原因の特定にはパッチテスト(皮膚アレルギー検査)が有用なため、皮膚科への受診をお勧めします。
5. ニキビ・ニキビ跡による赤み
ニキビ(尋常性ざ瘡)の炎症が続くと、赤みが長引く原因になります。また、ニキビが治った後に残る「赤いニキビ跡(炎症後紅斑)」は、数ヶ月単位で残ることもあります。ニキビを繰り返しているうちに皮膚のバリア機能が低下し、赤みが慢性化するケースもみられます。
6. スキンケアによる刺激(スキンケア関連皮膚炎)
過剰な洗顔・クレンジング・ピーリング剤の使用、または刺激の強い成分を含む化粧品の使用が皮膚のバリア機能を破壊し、慢性的な赤みや敏感肌状態を引き起こすことがあります。「丁寧にケアしているのに赤みが引かない」という方は、ケア方法そのものが刺激になっているケースも考えられます。
7. 全身疾患・内臓疾患との関連
まれではありますが、全身性エリテマトーデス(SLE)では蝶形紅斑と呼ばれる鼻梁から両頬にかけての赤みが特徴的に現れます[3]。また、多形性紅斑や皮膚筋炎など、内臓疾患が皮膚症状として顔の赤みを引き起こすことがあります。発熱・関節痛・倦怠感などの全身症状を伴う場合は速やかに受診してください。
苅部医師のコメント
「当院の外来では、”ニキビが治らない”と思って受診された方が、診察してみると酒さだったというケースが珍しくありません。酒さとニキビは見た目が似ているため混同されやすいのですが、治療の方向性が異なります。ニキビ向けの強い洗顔剤や皮脂を取り過ぎるケアが酒さをかえって悪化させてしまうこともあるため、自己判断でスキンケアを続けず、一度皮膚科でしっかり診断を受けることをお勧めしています。」
よくある誤解・見落としがちなポイント

誤解1:「赤みは保湿すれば治る」
乾燥による赤みには保湿が有効ですが、酒さや脂漏性皮膚炎、接触性皮膚炎の場合は、保湿クリームに含まれる成分(防腐剤・香料・乳化剤など)がかえって刺激になることがあります。「保湿しているのに良くならない」という場合は、使用中のアイテムが原因かもしれません。
また、ステロイド成分を含む市販の外用薬を自己判断で顔に長期間使用すると、皮膚が薄くなったり毛細血管が拡張したりして、赤みが悪化するリスクもあります。市販薬を使う場合は薬剤師に相談し、短期間の使用にとどめることが重要です。
誤解2:「顔の赤みは体質だから仕方ない」
「生まれつき顔が赤い体質」と諦めている方の中には、実は酒さや毛細血管拡張症として適切な治療を受ければ改善できるケースが含まれています。当院の外来でも、「何年も赤みを体質だと思っていたが、治療を続けて改善した」というご報告をいただくことがあります。症状が長く続いている場合ほど、一度専門家に相談することをお勧めします。
セルフケアでできること

皮膚科を受診するまでの間、または医師の指導のもとで行うセルフケアとして以下のことが参考になります。ただし、これらはあくまで補助的なものであり、症状が改善しない場合は自己判断でケアを続けず、医師に相談することが大切です。
刺激の少ないスキンケアに切り替える
洗顔は1日2回を目安に、ぬるま湯で優しく洗い、強くこすらないようにしましょう。洗顔料は無香料・無着色・低刺激タイプを選ぶのが無難です。クレンジングは界面活性剤の少ないものを選び、長時間肌に乗せないようにします。
紫外線対策を徹底する
紫外線は酒さ・炎症後紅斑・脂漏性皮膚炎など、あらゆる種類の赤みを悪化させる要因になります。日焼け止めは低刺激タイプを選び、外出時には帽子・日傘も活用しましょう。
生活習慣を整える
睡眠不足・飲酒・喫煙・辛い食べ物の過剰摂取は皮膚の炎症を悪化させやすいと考えられています。とくにアルコールは血管を拡張させるため、酒さの方は注意が必要です。バランスのよい食事・十分な睡眠・ストレスの管理を意識しましょう。
セルフケアチェックリスト
- 洗顔は1日2回、ぬるま湯で優しく行っている
- スキンケア製品は無香料・無着色・低刺激タイプを使用している
- 外出時に日焼け止め・帽子・日傘を活用している
- アルコール・喫煙・辛い食べ物を控えている
- 睡眠を1日7時間前後確保している
- 過度なピーリングや摩擦を避けている
- 市販のステロイド外用薬を顔に長期間使用していない
皮膚科を受診すべきタイミング

以下のような症状がある場合は、早めに皮膚科を受診することをお勧めします。症状を放置すると、炎症が広がったり、皮膚が慢性的にダメージを受けたりするリスクがあります。
- 赤みが2週間以上続いている
- かゆみ・灼熱感・ヒリヒリ感を伴っている
- 赤みとともにニキビのような丘疹・膿疱が増えている
- 市販薬を使っても改善しない、またはかえって悪化した
- 新しい化粧品・スキンケア製品の使用後から症状が出た
- 発熱・関節痛・倦怠感など全身症状を伴っている
- まぶた・目のまわりに赤みや腫れがある
- 「体質」と思って何年も放置している
皮膚科での主な治療法
皮膚科では、原因に応じた治療が行われます。以下に、顔の赤みに対して行われることの多い治療法を紹介します。
保険診療でできる治療
酒さには、抗菌薬(メトロニダゾール外用薬など)や抗炎症作用のある内服薬が使われることがあります。アトピー性皮膚炎にはステロイド外用薬・タクロリムス(免疫抑制外用薬)・生物学的製剤などが選択肢になります[2]。脂漏性皮膚炎には抗真菌薬の外用が基本となります。接触性皮膚炎では原因物質の特定と回避が中心で、炎症にはステロイド外用薬が使われます。
また、光線療法(ナローバンドUVB)は皮膚炎の炎症を抑える効果が期待でき、当院でも保険診療の範囲内で対応しています。
美容皮膚科・自費診療でできる治療
毛細血管の拡張による赤みや、炎症後紅斑(ニキビ跡の赤み)には、保険診療の外用薬だけでは改善しにくいケースがあります。そのような場合には、ピコレーザーやフラクショナルレーザーなどのレーザー治療、またはダーマペンによる治療が選択肢になることがあります。気になる方はお気軽にご相談ください。
治療法の比較表
| 治療法 | 主な対象 | 保険/自費 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|---|
| ステロイド外用薬 | アトピー性皮膚炎・接触性皮膚炎 | 保険診療 | 即効性あり。長期・過剰使用は皮膚菲薄化のリスクあり |
| 免疫抑制外用薬(タクロリムス等) | アトピー性皮膚炎(特に顔) | 保険診療 | ステロイドの副作用を避けたい顔の治療に有用 |
| 抗真菌薬外用 | 脂漏性皮膚炎 | 保険診療 | マラセチア(カビ)への直接作用。再発しやすい |
| 抗菌薬(内服・外用) | 酒さ・ニキビ | 保険診療 | 炎症性皮疹に有効。長期内服は耐性菌に注意 |
| 光線療法(ナローバンドUVB) | アトピー性皮膚炎・慢性皮膚炎 | 保険診療 | 外用薬と併用して効果を高めることが多い |
| ピコレーザー・フラクショナルレーザー | 炎症後紅斑・毛細血管拡張 | 自費診療 | 薬では改善しにくい赤みに対応。複数回必要な場合あり |
| ダーマペン | ニキビ跡・毛穴・炎症後変化 | 自費診療 | 皮膚の再生を促す。ダウンタイムあり |
よくある質問
- Q. 顔の赤みは放置しても自然に治りますか?
- 一時的な赤み(日焼け・軽い刺激など)は自然に落ち着くこともありますが、酒さや脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎など皮膚疾患が原因の場合は、放置すると慢性化したり悪化したりする可能性があります。2週間以上赤みが続く場合や、かゆみ・ヒリヒリ感を伴う場合は早めに皮膚科を受診することをお勧めします。
- Q. 化粧品を変えたら顔が赤くなりました。すぐに皮膚科に行くべきですか?
- まずは疑わしい化粧品の使用をすぐに中止してください。多くの場合、原因物質から離れることで数日以内に赤みが落ち着きます。ただし、中止しても赤みが引かない・悪化する・水ぶくれが出るなどの場合は、接触性皮膚炎として皮膚科でパッチテストを含む検査を受けることをお勧めします。
- Q. 「酒さ」と「ニキビ」はどうやって見分けますか?
- 酒さは顔の中央部(鼻・頬・額・あご)に多く、慢性的な赤みと血管の拡張を伴い、熱感やほてりを感じやすいのが特徴です。ニキビは毛穴の詰まりを伴う面ぽうが中心で、思春期〜20代前半に多くみられます。見た目が似ていても治療法は異なるため、自己判断せず皮膚科での診断を受けることが大切です。
まとめ
顔の赤みが治らない原因は、酒さ・アトピー性皮膚炎・脂漏性皮膚炎・接触性皮膚炎・ニキビ・スキンケアによる刺激など、さまざまです。それぞれ原因が異なるため、正確な診断なしに自己流のケアを続けても改善しないだけでなく、症状を悪化させてしまうリスクもあります。
「体質だから」と諦める前に、まず皮膚科で診断を受けることが、改善への近道です。適切な治療とスキンケアの見直しによって、長年悩んでいた赤みが改善するケースは少なくありません。
気になる症状がある方は、ぜひ皮膚科への受診を検討してください。当院(麹町皮ふ科・形成外科クリニック)でもご相談いただけます。保険診療の一般皮膚科から美容皮膚科まで幅広く対応しておりますので、お気軽にお越しください。
気になる症状があれば皮膚科へご相談ください
セルフケアで改善しない、症状が長引いている、原因が分からないといった場合は、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。麹町皮ふ科・形成外科クリニック(千代田区市ヶ谷)でもご相談いただけます。
所在地: 東京都千代田区(市ヶ谷/半蔵門/永田町) / 監修: 苅部 淳 医師(形成外科専門医)
References
- 日本皮膚科学会『酒さ診療ガイドライン2023』https://www.dermatol.or.jp/
- 日本皮膚科学会『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024』https://www.dermatol.or.jp/
- 日本皮膚科学会『皮膚科Q&A(全身性エリテマトーデス)』https://www.dermatol.or.jp/
- 日本アレルギー学会『アレルギー総合ガイドライン2022』https://www.jsaweb.jp/
- 厚生労働省『医療広告ガイドライン(令和5年度版)』https://www.mhlw.go.jp/
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監修医師

苅部 淳
Karibe Jun
理事長
略 歴
資 格
受 賞
苅部 淳 理事長の発信
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